純水製造に使う樹脂塔の種類を徹底解説
水処理の分野における樹脂塔は、純水製造に欠かせない重要な要素です。本記事では、樹脂塔の基本概念から、純水製造に使われるさまざまな樹脂塔の種類、そしてそれぞれの水処理方式について詳しく解説します。特に、2床3塔式や4床5塔式といった設備がどのように機能し、カチオン樹脂塔やアニオン樹脂塔が持つ役割と重要性を掘り下げることで、読者は水処理システムの理解を深めることができます。
実際の運用において、樹脂塔の選択や管理が水質に与える影響は大きいため、本記事では各種樹脂塔の特徴や利点を紹介し、最適な設備選定のための知識を提供します。また、再生処理の方法や注意点についても触れることで、実務者が直面する具体的な問題に対する解決策を提示します。これにより、純水製造に関する幅広い知識を得ることができる内容となっています。読者は、この記事を通じて樹脂塔の重要性を再認識し、水処理技術についての理解を深めることができるでしょう。
樹脂塔の基本概念
樹脂塔は、主に水処理プロセスにおいて使用される装置であり、陽イオンや陰イオンの交換を通じて水質を改善し、純水製造を可能にする重要な要素です。これらの塔には、主に特殊な樹脂素材が充填されており、イオン交換反応を行うことによって水中の不純物を効果的に除去します。樹脂塔の基本的な機能は、吸着、再生、そして繰り返し使用する能力です。
樹脂塔とは何か
樹脂塔とは、水処理および純水製造のために使用される装置の一つであり、主にイオン交換樹脂を充填するための縦型の容器です。イオン交換樹脂は、主にポリマー基材に特定の機能基を持つ化合物を結合し、イオンの交換を行います。この樹脂が水中の陽イオンや陰イオンと結びつくことで、不要なイオンを除去し、化学的に安定した状態で水質を改善します。樹脂塔には、陽イオン交換樹脂塔、陰イオン交換樹脂塔など、さまざまな種類があります。
樹脂塔の役割と重要性
樹脂塔は、純水製造において非常に重要な役割を果たします。たとえば、飲料水や工業用水の精製において、樹脂塔を使用することで有害な成分や不純物を効果的に除去できます。これにより、飲料水の安全性を確保するだけでなく、製造プロセスや製品品質を向上させることができます。また、樹脂塔の使用によって、水の pH 値や硬度を制御し、最適な水質を維持することができます。さらに、イオン交換樹脂は再生可能な素材であるため、樹脂塔の運用コストを抑えることができ、持続的な水処理を実現する上で非常に役立ちます。
純水製造に使われる樹脂塔の種類
純水製造において、非常に重要な役割を果たすのが樹脂塔です。樹脂塔は、特定のイオンを選択的に除去するために設計された装置であり、主に陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂が使用されます。これらの樹脂塔は、様々な用途に応じて異なる種類が存在し、それぞれの特性や再生方法が異なります。ここでは、陽イオン交換樹脂塔と陰イオン交換樹脂塔の2つの基本的なタイプについて詳しく説明します。
陽イオン交換樹脂塔
陽イオン交換樹脂塔は、主に水中の陽イオン(Ca2+、Mg2+、Na+など)を特異的に除去するための装置です。この樹脂塔は、カチオン樹脂で構成されており、H+イオンが吸着されています。水が樹脂塔を通過する際、陽イオンは樹脂表面に吸着され、その際にH+イオンが放出されることで除去されます。
陽イオン交換樹脂塔の処理過程では、まず原水中の陽イオンが樹脂によって取り込まれ、その結果として酸性の水(H+の放出)に変わります。イオンの交換がイオン交換樹脂の中で行われます。この酸性水は次の工程である脱炭酸において脱炭酸塔に送られることになります。陽イオン交換樹脂は、イオン交換による性能が低下するため、つまりHイオンが徐々に消費され少なくなるために、一定の期間ごとにHイオンに戻す作業つまり再生処理が必要です。再生は、通常、高濃度の塩酸や硫酸を用いて行われ、樹脂内に吸着された陽イオンを取り除き、新たなH+を補充します。
陰イオン交換樹脂塔
陰イオン交換樹脂塔は、陽イオン交換樹脂塔とは異なり、水中の陰イオン(Cl–、SO42-、NO3–など)を除去するための装置です。この塔には、アニオン樹脂が使用されており、各樹脂には陰イオンここではOHイオンが吸着されています。水が樹脂塔を通過する際、陰イオンは樹脂に吸着され、代わりにOH–イオンが放出されます。
陰イオン交換樹脂塔は、まず脱炭酸塔からの水を受け取り、鉱酸を吸着します。アニオン樹脂は陰イオンを吸着し、同時にOH⁻イオンを放出することで水分子(H₂O)が生成され、その結果として水質が改善され純水が得られます。
カチオン樹脂と同様に、樹脂に保持されているOH⁻イオンは使用とともに徐々に減少するため、OH⁻イオンを再び付与する再生工程が必要です。この再生は、強アルカリ性水溶液(例:苛性ソーダ)を用いて行われ、吸着されていた陰イオンを解放し、新たなOH⁻イオンを樹脂に結合させます。
なお、不純物の蓄積を防ぐためには再生時の管理が重要であり、特に不溶性成分(例:シリカ)に対しては温度管理が不可欠です。
陽イオン交換樹脂塔と陰イオン交換樹脂塔は、純水製造において相互に連携し、非常に重要な役割を果たしています。これらの樹脂塔は、再生技術と組み合わせることで、持続的に高品質の純水を提供することが可能です。
水処理の各種方式
水処理は、さまざまな形式が存在し、純水製造や水質改善のために必要不可欠なプロセスです。本記事では、代表的な水処理方式として「2床3塔式」、「4床5塔式」、および「混床式脱塩装置」について解説します。それぞれの方式には独自の特徴と利点があり、用途に応じた選択がなされます。
2床3塔式
2床3塔式は、いわゆる「2B3T」とも呼ばれ、水処理業界で広く用いられるシステムです。この方式では、主にカチオン樹脂塔、脱炭酸塔、アニオン樹脂塔の3つの塔が順に配置されています。処理の流れは、まずカチオン樹脂塔で水中の陽イオンをHイオンに置き換え、酸性の水を生成します。この段階で放出されたHイオンにより、炭酸イオンは炭酸ガスとなり、脱炭酸塔で除去される仕組みです。最後に、アニオン樹脂塔で残る陰イオンが吸着され、より高純度な水を得ることができます。
再生処理は、通常原水中に含まれる除去イオンの量を考慮し、イオン交換樹脂の交換容量に基づいて再生時期が算出されます。一般的には、自動タイマーを用いて定期的に再生工程に移行することが多いです。このように、2床3塔式はシンプルかつ効果的な水処理方式であり、多岐にわたる用途に対応可能です。
4床5塔式
4床5塔式は、より高度な水処理システムとして知られています。この方式では、カチオン樹脂塔とアニオン樹脂塔が異なる特性を持つ2つのタイプ(弱酸性および強酸性、弱塩基性および強塩基性)で構成され、それぞれの樹脂を使い分けながら連続して処理を行います。このシステムでは、まず弱樹脂による処理を経てから強樹脂による最終処理が行われるため、特に複雑な水質の処理において高い効率が期待できます。
カチオン樹脂工程では、まず弱酸性カチオン樹脂塔が中性域でも2価カチオンを吸着し、その後、強酸性カチオン樹脂塔でさらに除去を行います。再生時は原水の流入方向とは逆方向に流し、効率的な再生を実現します。この方法では、強酸性カチオン樹脂を先に再生し、その残留再生剤で弱酸性カチオン樹脂も再生できるため、薬剤使用量を抑えつつ高い再生効果が得られます。強酸性樹脂では除去が困難な2価カチオンを弱酸性樹脂で処理する設計とすることもあり、また弱酸性樹脂はH⁺イオンに対する選択性が高いため、この組み合わせは効率的な再生方式として広く採用されています。
アニオン樹脂工程でも同様に、脱炭酸後の水はまず弱塩基性アニオン樹脂塔に入り、鉱酸を吸着します。続いて強塩基性アニオン樹脂塔にて、弱樹脂で除去しきれなかった鉱酸成分やシリカを除去します。なお、シリカは通常、弱塩基性樹脂では吸着できません。再生時はカチオン樹脂と同様に逆流方式を用い、強塩基性樹脂に苛性ソーダを注入した後、その残留再生剤で弱塩基性樹脂を再生します。弱塩基性樹脂は再生効率が高く、この方式により両樹脂とも効率よく再生されます。
このように、4床5塔式は高精度な水処理が求められる環境で優れた性能を発揮します。ただし、原水のシリカ濃度が高い場合には注意が必要です。再生時に急激なシリカ脱着が起こると、弱塩基性樹脂における鉱酸脱着によるpH低下と相まって、シリカのゲル化が発生するリスクがあります。そのため、シリカ濃度が高い原水では、再生工程を緩やかに行う手法が採用されます。
混床式脱塩装置
混床式脱塩装置は、カチオン樹脂とアニオン樹脂を混合して使用することで、高純度の純水を生成するシステムです。大型設備からオンサイト再生を行わない小型ボンベ型の水処理装置まで幅広く普及しており、効率性・簡便性・高純度水の生成能力・携帯性に優れています。特に高純度水が要求される半導体向け超純水設備の末端では、カートリッジポリッシャーとして採用されることが多く、この場合には高度に精製されたイオン交換樹脂を用い、非再生での運用が基本となります。
一般的な混床式システムでは、樹脂が混合されることで一つのタンク内でカチオンとアニオンの処理が同時に行われ、純水の品質管理が容易になる反面、再生工程には注意が必要です。特に、クランピングによるクロスコンタミネーションのリスクがあるため、再生設備を持たない混合樹脂ボンベを使用する場合には、専門業者による高度な再生処理が不可欠です。
ボンベタイプの混床式水処理装置には、小型の数リットルから大型の数十リットルまで多様な容量があり、携帯性に優れ、使用環境や必要水量に応じた柔軟な選択が可能です。これにより、混床方式の利点を最大限に活かしつつ、効率的かつ柔軟な運用が実現できます。
【初回価格 3,680円】お試しレンタルキャンペーン

純水器ボンベの家庭用レンタルを始めました。この機会に是非お試しください。
拭き取り不要 純水器のメンテナンスはいらない イオン交換樹脂の交換も不要 ボディーの美観を維持できる
数量限定によるセール価格! 無駄な自動課金はありません。