第2回 純水製造プロセス:水の中には何が入っている? (ゼロからの純水 全5回連載)
水は私たちの生活に欠かせない存在ですが、水道水の中にどのような成分が含まれているかを意識する機会は少ないかもしれません。
本記事では、水道水に含まれるカルシウム・マグネシウム・シリカなどの成分や、TDS(総溶解固形物)の考え方について、初心者の方にもわかりやすく解説します。
また、なぜ水アカやイオンデポジットが発生するのか、そして純水洗車を行うことでどのような違いが生まれるのかについても、実験を交えながら紹介していきます。
純水洗車に興味のある方はもちろん、水の違いによる洗車品質の変化を知りたい方にも役立つ内容となっています。
純水製造の基礎
純水の製造は、私たちの生活や産業を支える重要な水処理技術のひとつです。
特に、医療、電子機器、化学分野などでは、高い純度を持つ水が必要とされています。
本章では、「純水とは何か?」という基本から、イオン交換樹脂を使用した純水の製造方法について、わかりやすく解説していきます。
純水とは何か
純水とは、基本的にはH₂Oを主体とし、不純物が極めて少ない水のことを指します。
一般的には、家庭用の純水設備では、TDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形物、簡易設備では電気伝導度から換算)が1ppm未満程度の水を純水と呼ぶことが多くあります。
また、工業分野では、電気伝導度として1μS/cm以下程度を純水と呼ぶことが一般的です。
さらに、半導体や電子部品分野などでは、より高純度な「超純水」が必要とされる場合もあります。
ただし、「純水」の定義は、実際には使用目的によって大きく変わります。
例えば純水洗車では、必ずしもTDS 1ppm以下でなければ使用できないわけではありません。
水道水が100ppm前後あることを考えると、TDS 3ppm程度でも十分に清浄な水であり、水シミを大きく低減した洗車を行うことが可能です。
では、なぜ純水洗車では「1ppm以下」という基準がよく使われるのでしょうか。
これは、誰が使用しても安定した品質を得やすい、ひとつの目安として設定されている面があります。
一方で、実際の洗車では、水アカやイオンデポジットの原因となる成分がどれだけ残っているかが重要になります。
ここで注意が必要なのは、TDSは水中に含まれるイオン成分の“総量”を簡易的に表している数値であり、水アカの原因となる成分だけを直接測定しているわけではないという点です。
例えば、カルシウムやシリカなどは水シミの原因になりやすい一方、同じTDSでも成分の種類によって実際の影響は変わります。
このように、純水の定義は単純に「何ppm以下」と決まるものではなく、実際には用途ごとに求められる水質によって変わってきます。
純水洗車では、「水シミを抑えながら実用的に使える水質」を目安に考えることが重要です。ただ始めは簡易版TDS計で1ppm前後となります。
イオン交換樹脂と純水製造
イオン交換樹脂は、純水を製造する代表的な方法のひとつです。
主に使用されるのは、プラスイオンを除去する「陽イオン交換樹脂(カチオン樹脂)」と、マイナスイオンを除去する「陰イオン交換樹脂(アニオン樹脂)」の2種類です。
陽イオン交換樹脂(カチオン樹脂)は、水中のカルシウムやマグネシウム、ナトリウムなどの陽イオンを取り除き、代わりにH⁺イオンを放出します。
一方、陰イオン交換樹脂(アニオン樹脂)は、塩化物イオンや硫酸イオンなどの陰イオンを取り除き、代わりにOH⁻イオンを放出します。
そして、放出されたH⁺イオンとOH⁻イオンが結合することで、水(H₂O)が生成されます。
この仕組みにより、水中の不純物を大きく低減し、高い純水性能を得ることができます。
また、イオン交換樹脂は、一度性能が低下しても「再生」という処理を行うことで、再び使用できることが大きな特徴です。
そのため、工業用途では長期間繰り返し使用されており、純水洗車でもレンタル純水器などに応用されています。
さらに、イオン交換樹脂は比較的コンパクトな設備でも高い純水性能を得やすく、RO膜のような高圧設備と比較して扱いやすい点も特徴です。
このように、純水製造は単なるフィルター処理ではなく、水中のイオンをコントロールする高度な水処理技術によって成り立っています。
そして、純水洗車は、こうした工業用水処理技術を、より身近に利用した例のひとつと言えるでしょう。
水道水には何が入っている?
水道水は私たちの生活に欠かせない存在ですが、実は「完全に純粋な水」ではありません。
主成分はH₂Oであるものの、その中にはさまざまな成分が溶け込んでいます。
これらの成分は、水源や地域によって異なるため、実際の水質には地域差があります。
そのため、普段使用している水道水も、場所によって味や水アカの出やすさが変わることがあります。
水道水は「完全な水」ではない
一般的に「純水」とは、純粋な水、つまりH₂Oを主体とした不純物の少ない水を指します。
しかし、実際の水道水にはさまざまな成分が含まれています。
例えば、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分、消毒に使用される塩素由来成分、さらには微量の有機物などが存在しています。
水道水は安全に使用できるよう浄水場で処理されていますが、その過程では塩素などを使用するため、地域によっては特有の味やにおいを感じる場合があります。
また、水源や配管環境によって含まれる成分は異なるため、水質には地域差があります。
さらに、水道水中に含まれる成分は、洗車後の水シミやイオンデポジットの原因になる場合があります。
そのため純水洗車では、イオン交換樹脂などを使用して、こうした成分をできるだけ低減した水を利用しています。
カルシウム・マグネシウムとは?
水道水に含まれる成分の中でも、特に重要なのがカルシウムとマグネシウムです。
これらは水の「硬度」を決める代表的な成分であり、軟水や硬水といった水質の違いにも関係しています。
カルシウムは骨や歯を構成する成分として知られており、マグネシウムも体内で神経や筋肉の働きを助ける重要なミネラルです。
一方で、これらの成分が水中に多く含まれていると、水が乾燥した際に白い水アカやイオンデポジットとして残りやすくなります。
純水洗車では、こうした硬度成分およびシリカなどの不純物を低減することで、水シミの発生を抑えています。
地域によって水質は大きく違う
水道水の水質は、水源や地理的な条件によって大きく異なります。
例えば、山間部では比較的軟水が多く、地下水や河川水の影響を強く受ける地域では、硬度が高くなる場合があります。
日本国内でも、地域によってカルシウムやマグネシウムなどの含有量が異なるため、水の味や使い勝手、水アカの出やすさにも違いが現れます。
そのため、同じ純水洗車でも、地域によってTDS値や水シミの発生しやすさが変わる場合があります。
水道水に含まれる成分を理解することで、洗車だけでなく、日常生活における水との付き合い方もよりわかりやすくなります。
やや古いデータではありますが、以下のサイトでは全国を細かく水源別のデータが記載されています。
純水洗車で何が変わる?
純水洗車は、近年注目を集めている洗車方法のひとつです。
その大きな理由は、従来の水道水による洗車と比べて、水シミの発生を抑えやすく、仕上がりが大きく変わるためです。
特に、洗車後の拭き上げや乾燥時の違いは非常にわかりやすく、多くのユーザーがその効果を実感しています。
今回は、実際の実験も交えながら、純水洗車がなぜ効果的なのかを、いくつかのポイントに分けて見ていきます。
水道水と純水を乾燥比較してみる
まず始めに、水道水と純水で、乾燥後の状態にどのような違いが出るのかを実験してみます。
水道水には、カルシウムやマグネシウム、シリカなどの成分が含まれており、水が乾燥すると水アカや白いシミとして残る場合があります。
一方、純水はこうした成分が大きく低減されているため、乾燥後の残留物が少なくなります。
今回の実験動画では、TDS値の異なる水を黒い鉄板上で乾燥させることで、乾燥後にどのような違いが現れるかを比較しました。
実験では、
- 0ppm(純水)
- 4〜5ppm
- 19ppm
- 50ppm
- 109ppm(水道水)
- 164ppm(濃縮水道水)
といった複数の水質を比較しています。
乾燥後の状態を確認すると、TDS値が高い水ほど、白い輪郭状のシミや蒸発残留物が多くなっていることが確認できました。

特に109ppm、164ppmの水道水では、乾燥後に水滴跡がはっきりと残っており、水道水中に含まれるカルシウム、マグネシウム、シリカなどの成分が蒸発後に表面へ残留していることがわかります。
一方、0ppmの純水では、乾燥後の残留物は非常に少なく、きれいな状態となりました。
また興味深いのは、4〜5ppm程度の低TDS水でも、完全な0ppmと比較するとわずかな差が見られる点です。
ただし、水道水と比較すると、残留物量は大幅に低減されており、純水洗車として十分実用的なレベルであることも確認できます。
さらに、19ppmや50ppmでは、TDS値の上昇に伴い、徐々に乾燥後の輪郭や残留物が増加していく様子が確認できました。
この結果から、TDS値と乾燥後の残留物量には一定の相関があることがわかります。
今回の実験結果から考えると、純水洗車では、できるだけ純度の高い水、特に4ppm以下程度の水質で使用することが、実用上かなり有効と考えられます。
また、ここで一点気になるのが、0ppmの純水でも、わずかに汚れのような残留が見られる点です。
これについては、純水中にもさらに微量の成分が含まれている可能性に加え、乾燥中に空気中のホコリや微粒子が付着した可能性も考えられます。
特に今回のような炎天下での屋外実験では、風によるホコリや黄砂、空気中の微細な汚れが乾燥面へ付着する場合があります。
そのため、完全に「水由来のみ」の残留物だけを比較するには、乾燥環境も大きく影響することになります。
一方で、それでも0ppmの純水では、水道水と比較して大幅に残留物が少ないことは確認できました。
このことからも、純水洗車では「乾燥後に残る水由来成分」を大きく低減できていることがわかります。
なぜ純水洗車は拭き上げが楽なのか?
次に、純水洗車がなぜ拭き上げ作業を楽にするのかを考えてみます。
通常、水道水で洗車を行う場合、水シミを防ぐために素早く丁寧に拭き上げを行う必要があります。
特に炎天下では、水道水がすぐに乾燥してしまい、カルシウムやシリカなどの成分がボディ表面に残りやすくなります。
その結果、できてしまったシミを後から拭き取ったり、場合によっては擦って除去する作業が必要になることがあります。
一方、純水洗車では、水中の不純物が大きく低減されているため、乾燥後のシミが発生しにくくなります。
そのため、拭き上げ作業の負担を大きく軽減でき、洗車作業全体もスムーズになります。
もちろん、完全に拭き上げ不要というわけではありませんが、水道水洗車と比較すると、拭き上げの時間や気を使う場面は大きく減少します。
また、純水は乾燥後に残留物が少ないため、タオルによる強い擦り作業も減り、ボディへの負担軽減にもつながります。
さらに、タオル使用量を抑えやすくなるため、洗車作業の効率化だけでなく、洗濯回数の低減などの面でもメリットがあります。
シミ防止だけではない純水洗車のメリット
純水洗車のメリットは、シミを防止することだけではありません。
実際には、洗車作業そのものを快適にし、車の状態維持や日常管理にもさまざまなメリットがあります。
まず、純水洗車では乾燥後の残留物が少ないため、洗車後のボディ表面に汚れが固着しにくくなります。
その結果、次回の洗車時も汚れを落としやすくなり、洗車作業全体の負担軽減につながります。
また、純水洗車では強い擦り作業が減るため、ボディへの負担も軽減しやすくなります。
特に、繰り返し強く擦ることで発生しやすい細かな洗車キズの低減にもつながる可能性があります。
さらに、純水は洗剤との相性も良く、泡立ちやすすぎ性が安定しやすい特徴があります。
そのため、使用する洗剤量を減らしやすく、場合によっては軽い汚れであれば洗剤使用回数自体を減らせるケースもあります。
これは、家計面だけでなく、洗剤使用量低減による環境負荷の軽減にもつながります。
特に定期的に純水洗車を行うことで、汚れが蓄積しにくくなり、結果として強い洗剤や頻繁な洗浄が不要になることも期待できます。
一方で、風が強い日や黄砂が多い時期などは、純水洗車を行っていても空気中のホコリや微粒子は付着します。
そのため、純水洗車だけで完全に汚れを防げるわけではありません。
ただし、水道水由来の残留物が少ないことで、全体としては汚れが固着しにくく、日常的なメンテナンスは行いやすくなると考えられます。
このように、純水洗車は単に「シミを防ぐ洗車方法」ではなく、洗車作業の効率化や車両コンディション維持、さらには環境面にもメリットを持つ洗車方法と言えます。
これまで水道水で洗車していた方も、ぜひ一度、純水洗車による仕上がりの違いを体感してみてください。
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