【第5回】水を速く流すと純水はどうなる?~線流速(LV)とイオン交換帯の関係~ (全12回 純水製造を科学する)
これまで「純水製造を科学する」では、純水の基本的な性質から、イオン交換樹脂によって純水ができる仕組み、さらに樹脂量や樹脂層の高さが純水性能に与える影響について紹介してきました。
第4回では、イオン交換が瞬間的に完了するわけではなく、水中のイオンが樹脂表面から内部へ移動する時間が必要であることを説明しました。
では、水を流す速さを変えると、純水性能はどうなるのでしょうか?
今回は、線流速(LV)とイオン交換速度の関係を考えながら、樹脂層内でイオン交換が活発に進む「イオン交換帯」に注目してみましょう。
同じ純水器でも、流速を変えると水質はどうなる?
第3回・第4回で紹介した実験装置を使い、今回は樹脂量と層高を変えずに、水の流量を変えて処理水質を確認しました。
ここでは一連の樹脂を使用して、今度は流速を変更した実験を見ていきましょう。
実験条件
- イオン交換樹脂:混床樹脂56 mL
- 樹脂層高:53 mm
- 原水TDS:約110 ppm
実験結果
- 流量 6 L/h → 処理水TDS 7 ppm
- 流量 17 L/h → 処理水TDS 17 ppm
- 流量 23 L/h → 処理水TDS 19 ppm
今回の実験では、同じ樹脂量・同じ層高でも、流量が増えるほど処理水のTDSが高くなる傾向が確認されました。
実験動画では測定の様子を短くまとめています。流量ごとの処理水質を、下の図に整理しました。
では、なぜこのような違いが生じるのでしょうか?
今回使用したのは、新品のイオン交換樹脂です。同じ純水器、同じ樹脂量、同じ樹脂層高で、変更したのは水の流量だけです。
樹脂には十分なイオン交換容量が残っていると考えられるにもかかわらず、流量を増やすと処理水のTDSが高くなりました。
つまり、イオン交換樹脂の性能は、交換容量だけでは説明できないということです。

ここで重要になるのが、イオン交換が進む「速さ」です。
第4回で紹介したように、水中のイオンが樹脂表面へ移動し、さらに樹脂内部へ拡散してイオン交換されるまでには、一定の時間が必要です。
では、水の流れる速さと、イオン交換が進む速さには、どのような関係があるのでしょうか?
まずは、水の流速を表す「LV」と「SV」について整理してみましょう。
水の流速を表す「LV」と「SV」は何が違う?
先ほどの実験では、水の流量を変えることで、処理水質に違いが生じることを確認しました。
では、樹脂層の中を流れる水の速さは、どのように表せばよいのでしょうか?
イオン交換樹脂塔の設計や運転では、一般に線流速(LV)と空間速度(SV)という2つの指標が使われます。
まずは、それぞれの定義と計算方法を簡単に整理してみましょう。そのうえで、イオン交換樹脂の性能を考える際に、なぜLVに注目するのかを説明します。

つまり、LVは水が樹脂層を通過する見かけの速さを表し、SVは樹脂量に対してどれだけの水を流すかを表しています。
では、なぜこのような2つの指標が使われるのでしょうか?
通常、イオン交換樹脂塔の設計では、原水に含まれるイオン量に対して、どれだけの樹脂量が必要なのかを考えます。
そのため、樹脂量を基準とするSVは、設備の設計や運転条件を整理する際に便利な指標です。
ただし、イオン交換樹脂が持つ交換容量を、実際の運転ですべて利用できるとは限りません。
イオン交換が進む速さや、樹脂層内でのイオン交換帯の広がりなどによって、交換容量を使い切る前に処理水質が低下することがあるため、設計には一定の余裕を持たせます。
一方、LVは樹脂層の断面積を基準とした水の流れる速さです。
イオン交換は、樹脂粒子の表面だけでなく、その内部でも進みます。そのため、水が樹脂層を通過する速さと、イオンが樹脂内部へ移動する速さとの関係が重要になります。
このようなイオン交換速度や物質移動の影響を考える場合には、LVに注目すると現象を理解しやすくなります。
また、イオン交換樹脂が経年劣化すると、交換容量の低下だけでなく、イオン交換速度が遅くなる場合もあります。
例えば、樹脂の汚染などによってイオンの移動が妨げられると、交換容量が残っていても、十分な水質が得られなくなることがあります。
このような変化を調べる際には、LVなどの試験条件をそろえ、処理水質の変化を比較することが有効です。
つまり、SVは樹脂量を基準とした設計・運転管理に、LVは樹脂層内でのイオン交換の進み方を考える際に役立つ指標といえます。
では、LVとSVは樹脂層の高さとどのような関係にあるのでしょうか?
樹脂層の体積は、樹脂塔の断面積と樹脂層高を掛け合わせたものです。
樹脂層体積 = 断面積 × 樹脂層高
したがって、LVとSVには次の関係が成り立ちます。
LV = SV × 樹脂層高(H)
例えば、樹脂層高が0.30 m、SVが100 h⁻¹の場合、
LV=100 × 0.30=30 m/h
となります。
つまり、同じSVで運転していても、樹脂層高が異なればLVも異なります。
逆に、同じ樹脂層高であれば、LVとSVは一定の関係で結ばれています。
ここで重要なのは、LVとSVは同じ通水条件を異なる基準で表したものであり、どちらに注目するかによって、考えやすい現象が異なるということです。
では、水の流れる速さが変わると、樹脂粒子でのイオン交換にはどのような影響が生じるのでしょうか?
次に、イオン交換速度との関係を考えてみましょう。
水の流れとイオン交換速度には、どんな関係がある?
第4回では、水中のイオンがイオン交換樹脂に取り込まれるまでの仕組みを紹介しました。
イオン交換は、水中のイオンが樹脂に接触した瞬間に、すべて完了するわけではありません。
まず、水中のイオンが樹脂粒子の表面へ移動する「境膜拡散」、続いて樹脂内部へ移動する「粒子内拡散」という過程を経て、イオン交換が進みます。
つまり、イオン交換には一定の時間が必要なのです。
一方、水は樹脂層の中を流れ続けています。
水の流速が変わると、樹脂粒子の周囲でのイオンの移動条件や、水が樹脂層を通過する時間も変わります。
例えば、流速を速くすると、樹脂表面へのイオンの移動が促進される場合があります。しかし、同時に水が樹脂層を通過する時間は短くなります。
そのため、流速を速くすれば、必ずイオン交換性能が向上するというわけではありません。
今回の実験でも、流量を増やすほど処理水のTDSが高くなる傾向が確認されました。
このように、純水性能を考える際には、樹脂の交換容量だけでなく、水の流れる速さと、イオン交換が進む速さのバランスが重要になります。
では、このバランスは樹脂層の中で、どのような現象として現れるのでしょうか?
ここで注目したいのが、イオン交換が活発に進んでいる領域、「イオン交換帯」です。
流速が変わると「イオン交換帯」はどうなる?
ここからは、「イオン交換帯」という考え方を用いて、水の流速とイオン交換性能の関係を説明していきます。
まずは、イオン交換帯とはどのような領域なのか、その基本的な仕組みから見ていきましょう。
イオン交換帯とは、どのような領域?
イオン交換樹脂に水を流すと、水中のイオンは樹脂に取り込まれていきます。
では、イオン交換は樹脂層の入口で、すべて完了するのでしょうか?
実際には、そうではありません。
第4回で紹介したように、水中のイオンが樹脂の表面に到達し、さらに内部へ移動するまでには一定の時間が必要です。
そのため、イオン交換は樹脂層の一点で瞬間的に完了するのではなく、ある程度の幅を持った領域で進行します。
このイオン交換が活発に進んでいる領域を、「イオン交換帯」と呼びます。

例えば、上から下へ水を流す場合、イオン交換が進むにつれて、樹脂層の上部から交換容量が消費され、イオン交換帯は徐々に下方へ移動していきます。
ここで重要なのは、水を均一に流したとしても、イオン交換帯には一定の幅が生じるということです。
これは、樹脂層内の水の流れだけでなく、イオンが樹脂内部へ移動する速さや、イオン交換の平衡関係などが影響するためです。
つまり、イオン交換帯は、樹脂がどのような速さでイオンを取り込めるのかを考えるための、重要な指標となります。
では、水の流れる速さ、すなわちLVが変わると、このイオン交換帯の幅はどうなるのでしょうか?
LVが速いと、イオン交換帯は長くなる?
今回の実験では、同じイオン交換樹脂量、同じ樹脂層高で流量だけを変えたところ、LVが速くなるほど処理水のTDSが高くなる傾向が確認されました。
| 流量 | LV | 処理水TDS |
|---|---|---|
| 6 L/h | 約5.7 m/h | 7 ppm |
| 17 L/h | 約16.1 m/h | 17 ppm |
| 23 L/h | 約21.8 m/h | 19 ppm |
では、この結果をイオン交換帯の考え方で説明すると、どうなるでしょうか?

水の流速が速くなると、樹脂層内を水が通過する時間は短くなります。一方、イオンが樹脂の表面から内部へ移動するには一定の時間が必要です。
そのため、イオンの移動が十分に進まない条件では、イオン交換がより長い樹脂層にわたって進むことになり、イオン交換帯が広がる可能性があります。
イオン交換帯が広がり、樹脂層の出口付近まで影響が及ぶと、交換容量が十分に残っていても、処理水中にイオンが漏れ出すことがあります。
今回の実験でLVを速くするとTDSが高くなったことも、このようなイオン交換速度の影響によって説明できる可能性があります。
ただし、流速が速くなると樹脂表面へのイオンの移動が促進される場合もあるため、LVとイオン交換帯の幅は必ずしも単純な比例関係にはなりません。
今回の実験はイオン交換帯の幅を直接測定したものではありませんが、LVとイオン交換速度のバランスが、純水性能を左右することを考える手掛かりになります。
樹脂が劣化すると、イオン交換帯はどう変わる?
これまでは、新品のイオン交換樹脂を使用し、水の流速(LV)が変わると、イオン交換帯にどのような影響が生じるのかを考えてきました。
では、同じLVでも、イオン交換樹脂が劣化している場合はどうなるのでしょうか?
イオン交換樹脂は、長期間の使用によって汚染や劣化が進むことがあります。
例えば、樹脂表面に有機物などの汚染物質が吸着・蓄積すると、水中のイオンが樹脂内部へ移動する際の抵抗が大きくなる可能性があります。
また、汚染物質の種類によっては、電荷の影響などにより、イオンが樹脂表面へ近づきにくくなることも考えられます。
第4回で紹介した「境膜拡散」や「粒子内拡散」に加え、こうした汚染層による物質移動への影響も考える必要があります。

このような状態では、新品樹脂と同じLVで水を流しても、イオン交換が十分に進みにくくなる場合があります。
その結果、イオン交換帯が広がり、樹脂層の出口側までイオンが漏れ出しやすくなる可能性があります。
ここで注目したいのは、樹脂の交換容量が十分に残っていても、イオン交換速度の低下によって処理水質が悪化する場合があるという点です。
つまり、イオン交換樹脂の劣化を評価する際には、交換容量の変化だけでなく、イオン交換速度の変化にも注目する必要があります。
イオン交換帯の幅は、このような樹脂の速度性能を考えるうえで重要な手掛かりとなります。
良い純水器には、どのような流速と層高が必要なのか?
ここまで、流速(LV)やイオン交換帯、さらに樹脂の劣化が純水性能に与える影響について説明してきました。
では、これらを実際の純水器の設計や使用に、どのように活かせばよいのでしょうか?
工業用純水設備では、長期間の使用や繰り返し再生した樹脂を扱う場合がある一方、家庭用の純水洗車器では、新品樹脂や状態の良い再生樹脂を使用することが一般的です。
ここでは、樹脂の使用条件による考え方の違いにも触れながら、良い純水器に必要な流速と樹脂層高の関係を考えていきましょう。
イオン交換帯を受け止める「樹脂層高」の役割
これまで説明してきたように、イオン交換は樹脂層の一点で瞬間的に完了するわけではなく、ある程度の幅を持った「イオン交換帯」の中で進行します。
そのため、純水器の設計では、イオン交換樹脂の量だけでなく、イオン交換帯に対して十分な樹脂層高を確保することが重要になります。
例えば、樹脂層高が不足している場合には、樹脂に十分な交換容量が残っていても、イオン交換が完了する前に水が出口へ到達し、処理水質が悪化する可能性があります。
一方、適切な樹脂層高を確保することで、イオン交換が進むための距離を確保でき、処理水質の安定につながります。
ただし、樹脂層高を高くすれば、必ず純水性能が向上するというわけではありません。
必要な層高は、水の流速(LV)、樹脂のイオン交換速度、原水水質などによっても変わります。
つまり、良い純水器を考える際には、樹脂量だけでなく、LVとイオン交換帯の広がりを考慮した層高の設定が重要なのです。
純水洗車と工業用純水設備では、考え方が少し異なります。
ここまで、イオン交換帯と樹脂層高の関係を説明してきましたが、純水器の使用目的によって、重視するポイントは少し異なります。
工業用純水設備では、長期間の使用や繰り返し再生によって、樹脂の汚染や劣化が進む場合があります。
そのため、交換容量だけでなく、イオン交換速度の低下も考慮する必要があります。
例えば、交換容量が十分に残っていても、イオン交換速度が低下すると、イオン交換帯が広がり、処理水質が悪化する可能性があります。
このような場合には、つまり水質トラブルなどの場合には、イオン交換帯の考え方が、水質悪化の原因が樹脂の状態に関係しているのか、それとも設備の流量や通水状態に関係しているのかを考える手掛かりにもなります。
一方、家庭での純水洗車では、新品樹脂や適切に再生・管理された樹脂を使用することが多く、工業用設備ほど長期間の繰り返し使用による劣化を重視する必要がない場合もあります。
そのため、まず重要になるのは、洗車に必要な水量を確保しながら、良好な処理水質を維持できるかという点です。
純水洗車器でも、樹脂量が十分であっても、流量に対して樹脂層高が不足していれば、期待した水質が得られない場合があります。
つまり、工業用純水設備では「樹脂の劣化や運転条件を含めた安定した水質管理」、純水洗車では「必要な流量と良好な処理水質の両立」が、それぞれ重要な視点になります。
では、水質を良くするためには、LVをできるだけ遅くすればよいのでしょうか?
次に、流速と実用性の関係について考えてみましょう。
LVは遅ければ遅いほど良いの?
これまで、水の流速(LV)が速くなると、イオン交換が十分に進まず、処理水質が悪化する場合があることを説明してきました。
では、反対にLVをできるだけ遅くすれば、より良い純水が得られるのでしょうか?
一般的には、LVを下げると樹脂層内での水の滞留時間が長くなり、イオン交換が進むための時間を確保しやすくなります。
しかし、LVは遅ければ遅いほど良いというわけではありません。
極端に低いLVでは、水と樹脂の接触時間が長くなるため、樹脂由来の微量成分の溶出や、設備内での水の滞留などが処理水質に影響する可能性があります。
つまり、LVが速すぎる場合と、極端に遅い場合とでは、水質が悪化する原因が異なることがあるのです。
では、実際にはどの程度のLVが適切なのでしょうか?
工業用のイオン交換設備では、LV30~50 m/h程度が使用される場合もあります。ただし、これは一つの経験的な目安であり、樹脂の種類、原水水質、必要な処理水質、設備構成などによって適切な値は変わります。
一方、家庭用の純水洗車器では、工業用設備ほど大きな処理水量を必要としないため、例えばLV20 m/h程度を設計検討の出発点とする考え方もあります。
ただし、純水洗車では、水質だけでなく洗車に必要な水量を確保できるかという点も重要です。
例えば、100~200 L/h(約1.7~3.3 L/分)の純水を使用する場合を考えてみましょう。
ボンベ内径100 mmではLVは約13~25 m/hとなりますが、内径150 mmでは約6~11 m/hとなります。
このように、同じ流量でもボンベ径によってLVは大きく変わります。
また、低い流量で純水を製造し、いったんタンクに貯めてから洗車に使用する方法も考えられます。
この方法では、純水の製造流量と洗車時の使用流量を分けられますが、タンクの清浄度や保管中の水質変化に注意が必要です。
したがって、良い純水器を考える際には、単にLVを遅くするのではなく、必要な処理水質と処理水量を両立させることが重要になります。
では、実際にボンベ径を変えると、LVと樹脂層高はどのように変化するのでしょうか?
次に、簡単なシミュレーションで考えてみましょう。
純水性能を決めるのは、LV・層高・イオン交換速度のバランス
ここまで、LVとイオン交換帯の関係について説明してきました。
実際の純水器では、流速だけでなく、樹脂層高やイオン交換速度も考慮する必要があります。
そこで、家庭用純水洗車器を例に、同じ樹脂量でボンベ径を変えた場合、LVと樹脂層高がどのように変化するのかを計算してみましょう。
【シミュレーション条件】
- イオン交換樹脂量:5 L、10 L
- 通水流量:100、150、200 L/h
- ボンベ内径:100、125、150、175、200 mm
- 樹脂は円筒部分に均一に充填されているものとします。
表1 ボンベ内径とLVの関係
| ボンベ内径 | 100 L/h | 150 L/h | 200 L/h |
|---|---|---|---|
| 100 mm | 12.7 | 19.1 | 25.5 |
| 125 mm | 8.1 | 12.2 | 16.3 |
| 150 mm | 5.7 | 8.5 | 11.3 |
| 175 mm | 4.2 | 6.2 | 8.3 |
| 200 mm | 3.2 | 4.8 | 6.4 |
単位:LV(m/h)
表1から、同じ流量でも、ボンベ径が大きくなるほどLVが低くなることが分かります。
例えば150 L/hの場合、内径100 mmではLV約19 m/hですが、内径200 mmでは約5 m/hとなります。
では、樹脂層高はどうなるのでしょうか?
表2 同じ樹脂量でボンベ径を変えた場合の樹脂層高
| ボンベ内径 | 樹脂5 L | 樹脂10 L |
|---|---|---|
| 100 mm | 637 mm | 1,273 mm |
| 125 mm | 407 mm | 815 mm |
| 150 mm | 283 mm | 566 mm |
| 175 mm | 208 mm | 416 mm |
| 200 mm | 159 mm | 318 mm |
単位:樹脂層高(mm)。ボンベ上下の曲面部などは考慮していません。
ここで注目したいのは、ボンベ径を大きくするとLVは低くなりますが、同じ樹脂量では樹脂層高も低くなるという点です。
例えば、樹脂5 Lを使用して150 L/hで通水する場合、内径100 mmではLV約19 m/h、樹脂層高約640 mmとなります。
一方、内径200 mmではLV約5 m/hまで低下しますが、樹脂層高も約160 mmとなります。
つまり、LVを下げるためにボンベ径を大きくしても、イオン交換帯に対して十分な樹脂層高が確保できなければ、期待した水質が得られない可能性があります。
また、同じ樹脂量と流量であれば、SV(空間速度)は同じになります。
今回の例では、樹脂5 L・流量150 L/hの場合、ボンベ径にかかわらずSVは30 h⁻¹です。
このことから、SVが同じでも、ボンベ径によってLVと樹脂層高が異なることが分かります。
ただし、同じ樹脂量・流量であれば、樹脂層全体の平均的な接触時間は同じです。そのため、今回の計算結果だけで、どのボンベ径が最も良い水質を得られるかを判断することはできません。
実際の純水性能は、イオン交換速度、イオン交換帯の広がり、樹脂層高、さらには設備内部の水の流れ方などによって変わります。
つまり、純水器の設計では、必要な処理水量を確保しながら、LV・樹脂層高・イオン交換速度を適切に組み合わせることが重要なのです。
これは工業用純水設備だけでなく、家庭用の純水洗車器にも共通する考え方です。
良い純水器とは、単に樹脂量が多い設備でも、LVが遅い設備でもありません。
必要な水量と水質に対して、ボンベ径・樹脂層高・イオン交換速度が適切に組み合わされた設備といえるでしょう。
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